TypeScript型再エクスポートの落とし穴:--isolatedModulesフラグで発生するエラーと解決策
TypeScriptにおける--isolatedModules
フラグと型再エクスポート
TypeScriptで--isolatedModules
フラグを使用する場合、型を再エクスポートするにはexport type
構文を使用する必要があります。このエラーメッセージは、TypeScriptコンパイラが型再エクスポートに使用される構文を認識できないことを示しています。
--isolatedModules
フラグとは
このフラグは、TypeScriptコンパイラに各ファイルを個別にモジュールとして処理するように指示します。これにより、コードのモジュール化と再利用性が向上しますが、いくつかの制約も伴います。
型再エクスポートとは
型再エクスポートは、あるモジュールで定義された型を別のモジュールで利用できるようにする機能です。これは、コードの冗長性を減らし、型定義を集中管理するのに役立ちます。
問題
従来の型再エクスポート構文は、export * as
構文と組み合わせて使用されていました。しかし、--isolatedModules
フラグを使用すると、この構文は正しく動作しません。
解決策
--isolatedModules
フラグを使用する場合は、型再エクスポートにexport type
構文を使用する必要があります。この構文は、再エクスポートする型を明示的に指定するものであり、コンパイラが型を正しく認識するのに役立ちます。
例
// ファイルA.ts
export type MyType = number;
// ファイルB.ts
export type { MyType } from './A'; // 従来の構文(エラーが発生)
export type { MyType } from './A'; // 正しい構文
--isolatedModules
フラグを使用する場合は、型再エクスポートにexport type
構文を使用する必要があります。これにより、コンパイラのエラーを回避し、コードを正しくモジュール化することができます。
--isolatedModules
フラグは、TypeScript 2.7以降で使用できます。
export type MyType = number;
export function myFunction(arg: MyType): void {
// ...
}
// ファイルA.tsから型と関数を再エクスポート
export type { MyType } from './A';
export { myFunction } from './A';
// ファイルA.tsで定義された型を使用して変数を宣言
let myVariable: MyType;
// ファイルA.tsで定義された関数を呼び出す
myFunction(10);
この例では、ファイルB.ts
はファイルA.ts
からMyType
型とmyFunction
関数を再エクスポートしています。これにより、ファイルB.ts
でMyType
型を使用して変数を宣言したり、myFunction
関数を呼び出したりすることができます。
- ファイル間の型エイリアスを再エクスポートする場合は、
export type { MyTypeAlias } from './A';
のようにexport type
構文を使用する必要があります。 - この例では、
export * as
構文ではなくexport type
およびexport { }
構文を使用しています。これは、--isolatedModules
フラグを使用しているためです。
TypeScript における型再エクスポートの代替方法
export * as構文を使用する
これが最も一般的な方法です。この構文を使用すると、モジュール内のすべてのエクスポートを再エクスポートすることができます。ただし、この構文は型以外のエクスポートも再エクスポートするため、コードが煩雑になる可能性があります。
// ファイルA.ts
export type MyType = number;
export function myFunction(arg: MyType): void {
// ...
}
// ファイルB.ts
export * as A from './A';
// ファイルB.tsでファイルA.tsの型と関数を宣言
let myVariable: A.MyType;
A.myFunction(10);
個々の型と関数を再エクスポートする
より明示的な方法として、個々の型と関数を再エクスポートすることができます。これは、コードをより整理整頓し、意図が明確になるという利点があります。
// ファイルA.ts
export type MyType = number;
export function myFunction(arg: MyType): void {
// ...
}
// ファイルB.ts
export { MyType, myFunction } from './A';
// ファイルB.tsでファイルA.tsの型と関数を宣言
let myVariable: MyType;
myFunction(10);
型エイリアスを使用する
型エイリアスを使用すると、再エクスポートする型に新しい名前を付けることができます。これは、コードをより読みやすく、意図を明確にするのに役立ちます。
// ファイルA.ts
export type MyType = number;
export function myFunction(arg: MyType): void {
// ...
}
// ファイルB.ts
export type MyAlias = MyType;
export { myFunction } from './A';
// ファイルB.tsでファイルA.tsの型と関数を宣言
let myVariable: MyAlias;
myFunction(10);
どの方法を選択するべきか
どの方法を選択するかは、状況によって異なります。一般的には、以下の点を考慮する必要があります。
- メンテナンス性: コードを将来変更しやすいようにする必要があります。
- コードの簡潔性: コードが冗長にならないようにする必要があります。
- コードの明確性: コードが読みやすく、意図が明確であることが重要です。
--isolatedModules
フラグを使用する場合は、export type
構文を使用して型を再エクスポートする必要があります。一方、--isolatedModules
フラグを使用しない場合は、上記で説明した3つの方法のいずれかを使用して型を再エクスポートすることができます。
typescript