process.memoryUsage() で紐解く:Node.js のメモリ使用量と V8 エンジンの詳細
Node.js の process.memoryUsage()
メソッドは、現在の Node.js プロセスのメモリ使用量に関する情報を提供します。これは、メモリリークやパフォーマンスの問題をデバッグする際に役立ちます。
このメソッドは、V8 エンジンによって使用されるメモリ量と、オペレーティングシステムによって使用されるメモリ量に関する情報を返します。
V8 エンジンは、Chrome や Node.js などの JavaScript エンジンで使用される仮想マシンです。V8 エンジンは、JavaScript コードを実行するためにメモリを割り当てます。
process.memoryUsage()
メソッドによって返される V8 エンジン関連の情報は以下の通りです。
- rss: プロセスによって使用される物理メモリの量 (バイト単位)
- heapTotal: ヒープメモリ全体の量 (バイト単位)
- heapUsed: 使用されているヒープメモリの量 (バイト単位)
- external: V8 エンジンによって管理されていない外部メモリの量 (バイト単位)
オペレーティングシステム
- resident: プロセスによって使用されている物理メモリの量と、他のプロセスによって使用されている物理メモリの一部 (バイト単位)
- shared: 他のプロセスと共有されている物理メモリの量 (バイト単位)
例
以下の例は、process.memoryUsage()
メソッドを使用して、現在の Node.js プロセスのメモリ使用量を取得する方法を示しています。
const process = require('process');
const memoryUsage = process.memoryUsage();
console.log('RSS:', memoryUsage.rss);
console.log('Heap Total:', memoryUsage.heapTotal);
console.log('Heap Used:', memoryUsage.heapUsed);
console.log('External:', memoryUsage.external);
console.log('Resident:', memoryUsage.resident);
console.log('Shared:', memoryUsage.shared);
console.log('Size:', memoryUsage.size);
メモリリークは、使用されなくなったオブジェクトが解放されずにメモリに残る状態です。メモリリークは、パフォーマンスの問題やシステムクラッシュにつながる可能性があります。
process.memoryUsage()
メソッドを使用して、メモリリークを検出することができます。メモリリークがある場合は、ヒープメモリの使用量が時間の経過とともに増加し続けます。
補足
process.memoryUsage()
メソッドは、Node.js プロセス全体ではなく、現在のスレッドのメモリ使用量のみを取得します。- メモリ使用量は、実行中のコードや使用しているライブラリによって異なります。
- メモリ使用量を監視するには、定期的に
process.memoryUsage()
メソッドを呼び出す必要があります。
サンプルコード:Node.js の process.memoryUsage() メソッドとメモリリークのシミュレーション
const process = require('process');
setInterval(() => {
const memoryUsage = process.memoryUsage();
console.log('RSS:', memoryUsage.rss);
console.log('Heap Total:', memoryUsage.heapTotal);
console.log('Heap Used:', memoryUsage.heapUsed);
console.log('External:', memoryUsage.external);
console.log('------------------------------');
}, 1000);
// メモリリークをシミュレーションする
const objects = [];
setInterval(() => {
objects.push(new Buffer(1024));
}, 100);
説明
このコードは、以下のことを行います。
setInterval()
関数を使用して、1 秒ごとにprocess.memoryUsage()
メソッドを呼び出します。setInterval()
関数を使用して、100 ミリ秒ごとに新しいBuffer
オブジェクトを作成します。- 作成された
Buffer
オブジェクトはobjects
配列にプッシュされます。
メモリリーク
このコードは、メモリリークをシミュレーションします。Buffer
オブジェクトは、使用されなくなっても解放されないため、メモリリークが発生します。
時間の経過とともに、objects
配列には使用されなくなった Buffer
オブジェクトが蓄積されます。これにより、ヒープメモリの使用量が時間の経過とともに増加し続けます。
メモリの解放
メモリリークを回避するには、使用されなくなったオブジェクトを解放する必要があります。これは、null
に設定したり、delete
演算子を使用したりして行うことができます。
以下の例は、objects
配列内の使用されなくなった Buffer
オブジェクトを解放する方法を示しています。
setInterval(() => {
for (let i = objects.length - 1; i >= 0; i--) {
if (objects[i] === null) {
objects.splice(i, 1);
}
}
}, 100);
このサンプルコードは、process.memoryUsage()
メソッドを使用してメモリ使用量を監視する方法と、メモリリークをシミュレーションする方法を示しています。メモリリークを回避するには、使用されなくなったオブジェクトを解放する必要があります。
このサンプルコードを参考に、Node.js アプリケーションにおけるメモリ使用量を監視し、メモリリークをデバッグしてください。
Node.js のメモリ使用量を監視する方法
npm パッケージ
以下の npm パッケージを使用して、メモリ使用量を監視することができます。
これらのパッケージは、process.memoryUsage()
メソッドよりも詳細な情報を提供したり、メモリリークを検出する機能を提供したりするなど、さまざまな機能を提供します。
Chrome DevTools を使用して、Node.js プロセスのメモリ使用量を監視することもできます。これを行うには、以下の手順を実行します。
- Node.js アプリケーションを Chrome でデバッグモードで実行します。
- Chrome DevTools を開きます。
- ソース タブを選択します。
- パフォーマンス パネルを選択します。
このパネルには、Node.js プロセスのメモリ使用量に関する詳細情報が表示されます。
オペレーティングシステムのツールを使用して、Node.js プロセスのメモリ使用量を監視することもできます。
- Windows: タスク マネージャー
- macOS: アクティビティ モニタ
- Linux: top コマンド
これらのツールを使用して、Node.js プロセスのメモリ使用量と、システム全体で使用されているメモリ量を確認することができます。
メモリ使用量の監視に関するベストプラクティス
- ベースラインを確立する: アプリケーションが正常に動作しているときのメモリ使用量のベースラインを確立します。
- メモリ使用量を定期的に監視する: メモリ使用量を定期的に監視して、異常な増加がないかを確認します。
- メモリリークを検出する: メモリリークがないか検出するために、ツールを使用します。
- 必要に応じてメモリを解放する: 使用されなくなったオブジェクトは解放します。
これらのベストプラクティスを実践することで、Node.js アプリケーションのメモリ使用量を効果的に管理することができます。
node.js v8