TypeScriptのgetとsetアクセサについて

2024-08-27

TypeScriptにおけるgetとset

TypeScriptでは、クラスのプロパティに対するアクセス制御やデータバリデーションのために、getsetアクセサを使用することができます。

getアクセサ

  • 計算された値や、内部状態に基づいて値を返すことができます。
  • 読み取り専用プロパティを実現できます。
  • プロパティの値を取得するためのメソッドです。


class Person {
  private _name: string;

  constructor(name: string) {
    this._name = name;
  }

  get name(): string {
    return this._name;
  }
}

この例では、nameプロパティはプライベートであり、getアクセサを通じて外部から読み取ることができますが、直接書き込むことはできません。

  • データバリデーションや、内部状態の更新を行うことができます。
class Rectangle {
  private _width: number;
  private _height: number;

  constructor(width: number, height: number) {
    this._width = width;
    this._height    = height;
  }

  get area(): number {
    return this._width * this._height;
  }

  set width(value: n   umber) {
    if (value < 0) {
      throw new Error("Width cannot be negative");
    }
    this._width = value;
  }

  set height(value: number) {
    if (value < 0) {
      throw new Error("Height cannot be negative");
    }
    this._height = value;
  }
}

この例では、widthheightプロパティはプライベートであり、setアクセサを通じて外部から書き込むことができます。ただし、値が負の場合にはエラーをスローします。

  • getアクセサは読み取り専用プロパティを実現し、setアクセサは書き込み専用プロパティを実現します。
  • getsetアクセサは、プロパティに対するアクセス制御やデータバリデーションを実現するために使用されます。



TypeScriptのgetとsetアクセサの例コード解説

Personクラスの例

class Person {
  private _name: string;

  constructor(name: string) {
    this._name = name;
  }

  get name(): string {
    return this._name;
  }
}
  • get name(): string { ... }
    • nameという名前のゲッターを定義しています。
    • このゲッターは、_nameプロパティの値を返します。
    • 外部からperson.nameとアクセスすると、このゲッターが呼び出され、_nameの値が取得されます。
  • private _name: string;
    • _nameという名前のプライベートな文字列型のプロパティを定義しています。
    • プライベートプロパティは、クラスの内部からしか直接アクセスできません。

この例の意味

  • _nameという内部的なプロパティで名前を保持し、nameという公開的なインターフェースでアクセスできるようにしています。
  • Personクラスのnameプロパティは、外部から読み取りは可能ですが、書き込みはできません。

Rectangleクラスの例

class Rectangle {
  private _width: number;
  private _height: number;

  constructor(width: number, height: number) {
    this._width = width;
    this._height    = height;
  }

  get area(): number {
    return this._width * this._height;
  }

  set width(value: n   umber) {
    if (value < 0) {
      throw new Error("Width cannot be negative");
    }
    this._width = value;
  }

  set height(value: number) {
    if (value < 0) {
      throw new Error("Height cannot be negative");
    }
    this._height = value;
  }
}
  • set height(value: number) { ... }
    • heightプロパティのセッターも同様に、値のバリデーションを行い、_heightプロパティに値を代入します。
  • set width(value: number) { ... }
    • このセッターは、widthプロパティに値を設定する際に呼び出されます。
    • 値が負の場合にはエラーをスローし、正の値の場合には_widthプロパティに値を代入します。
  • get area(): number { ... }
    • これは、widthheightのプロパティに基づいて長方形の面積を計算し、その値を返します。
  • 外部からrectangle.width = 10のように値を設定すると、widthセッターが呼び出され、値のバリデーションが行われます。
  • areaは計算されたプロパティであり、直接値を設定することはできません。
  • Rectangleクラスでは、widthheightのプロパティに値を設定する際に、負の値が設定されないようにバリデーションを行っています。
  • プライベートプロパティと組み合わせて使用することで、カプセル化を実現できます。
  • アクセサを使用することで、プロパティに対するアクセスを制御し、データの整合性を保つことができます。

TypeScriptのgetとsetアクセサは、クラスの設計において非常に重要な役割を果たします。これらの機能を理解することで、より安全で保守性の高いコードを書くことができるようになります。

  • アクセサはジェネリクスと組み合わせることができる
    より柔軟なアクセサを定義することができます。
  • アクセサはオーバーライドできる
    派生クラスでアクセサをオーバーライドすることで、基底クラスのアクセサの動作を変更できます。
  • アクセサは継承される
    基底クラスで定義されたアクセサは、派生クラスでも使用できます。



メソッドによる実装

  • 複雑なロジック
  • シンプルなプロパティ
    • ゲッターとセッターの代わりに、getXXX()setXXX()という名前のメソッドを定義する方法です。
    • これは、アクセサよりも直接的で、シンプルなプロパティのように扱えます。
class Person {
  private _name: string;

  constructor(name: string) {
    this._name = name;
  }

  getName(): string {
    return this._name;
  }

  setName(name: string) {
    th   is._name = name;
  }
}

Object.defineProperty

  • 動的なプロパティ
  • 詳細な制御
    • JavaScriptの組み込みオブジェクトであるObject.definePropertyを使用することで、プロパティのアクセサーをより詳細に定義できます。
    • 構成可能なプロパティ、列挙可能なプロパティなど、さまざまな属性を設定できます。
class Person {
  private _name: string;

  constructor(name: string) {
    this._name = name;
    Object.defineProperty(this, 'name', {
      get: () => { return this._name; },
      set: (value) => { this._name = value; }
    });
  }
}

Computed Properties

  • 動的なプロパティ名
    • テンプレート文字列を使用して、動的にプロパティ名を生成できます。
    • 複雑なオブジェクト構造を扱う場合に便利です。
class Data {
  [key: string]: any;

  setData(key: string, value: any) {
    this[key] = value;
  }

  getData(key: string) {
    return this[key];
  }
}

プライベートフィールド

  • 簡潔な記述
    • アクセサーよりも簡潔に記述できます。
  • TypeScript 3.8以降
    • プライベートフィールドが導入されました。
    • アクセサーを使用せずに、プライベートなプロパティを直接定義できます。
class Person {
  #name: string;

  constructor(name: string) {
    this.#name = name;
  }
}

どの方法を選ぶべきか?

  • TypeScript 3.8以降で、シンプルなプライベートプロパティが必要な場合
    プライベートフィールドを使用します。
  • 動的なプロパティが必要な場合
    Computed Propertiesを使用します。
  • 詳細な制御が必要な場合
    Object.definePropertyを使用します。
  • シンプルで一般的なケース
    ゲッターとセッターが最も直感的で、多くの場合に適しています。

選択のポイント

  • パフォーマンス
    特に大規模なアプリケーションでは、パフォーマンスが重要な要素となる場合がある。
  • 柔軟性
    必要な機能を満たせるか。
  • 可読性
    コードの読みやすさを考慮する。

typescript



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