ReactJS: コンポーネントの初期状態を props として渡さない方法 - 3 つの代替案
ReactJS: コンポーネントの初期状態を props として渡すのはなぜアンチパターンなのか?
コンポーネントの責任範囲の混同
コンポーネントの初期状態は、そのコンポーネント自身の内部状態です。それを props として外部から渡すことで、コンポーネントの責任範囲が曖昧になり、コードの理解やメンテナンスが難しくなります。
再レンダリングの無駄
コンポーネントの初期状態が props として渡されると、その props 値が変更されるたびにコンポーネントが再レンダリングされます。これは、不要な再レンダリングを引き起こし、パフォーマンスの低下につながります。
テストの難しさ
コンポーネントの初期状態が props として渡されると、その状態をテストするのが難しくなります。テストコードでは、props の値を適切に設定する必要があります。
再利用性の低下
コンポーネントの初期状態を props として渡すと、そのコンポーネントを再利用するのが難しくなります。他のコンポーネントで使用する場合は、その初期状態を props として渡す必要があります。
代わりに、コンポーネントの初期状態はコンポーネント内で直接定義することを推奨します。
class MyComponent extends React.Component {
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
count: 0,
};
}
render() {
return (
<div>
<h1>Count: {this.state.count}</h1>
<button onClick={() => this.setState({ count: this.state.count + 1 })}>Increment</button>
</div>
);
}
}
このコードでは、MyComponent
コンポーネントの初期状態は constructor
メソッド内で直接定義されています。これにより、コンポーネントの責任範囲が明確になり、コードの理解やメンテナンスが容易になります。
ただし、どうしても props で初期状態を渡す必要がある場合は、以下の点に注意する必要があります。
- テストコードで、props の値を適切に設定する。
- props で渡される初期状態が変更されるたびに、コンポーネントが再レンダリングされることを認識する。
- コンポーネントのドキュメントに、props で渡される初期状態の意味を明確に記述する。
これらの点に注意することで、props で初期状態を渡す際のデメリットを軽減することができます。
問題
class MyComponent extends React.Component {
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
count: this.props.initialCount,
};
}
render() {
return (
<div>
<h1>Count: {this.state.count}</h1>
<button onClick={() => this.setState({ count: this.state.count + 1 })}>Increment</button>
</div>
);
}
}
const App = () => {
return (
<div>
<MyComponent initialCount={10} />
<MyComponent initialCount={20} />
</div>
);
};
このコードは一見問題ないように見えますが、いくつかの問題があります。
- コンポーネントの責任範囲の混同
MyComponent
コンポーネントは、自身の状態を管理する責任があります。しかし、このコードでは、初期状態を props として外部から渡しているため、コンポーネントの責任範囲が曖昧になっています。 - 再レンダリングの無駄
initialCount
props の値が変更されるたびに、MyComponent
コンポーネントが再レンダリングされます。これは、不要な再レンダリングを引き起こし、パフォーマンスの低下につながります。 - テストの難しさ
MyComponent
コンポーネントをテストするには、initialCount
props の値を適切に設定する必要があります。
解決策
これらの問題を解決するには、MyComponent
コンポーネントの初期状態を props として渡すのではなく、コンポーネント内で直接定義します。
class MyComponent extends React.Component {
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
count: 0, // 初期状態を 0 に設定
};
}
render() {
return (
<div>
<h1>Count: {this.state.count}</h1>
<button onClick={() => this.setState({ count: this.state.count + 1 })}>Increment</button>
</div>
);
}
}
const App = () => {
return (
<div>
<MyComponent />
<MyComponent />
</div>
);
};
このコードでは、MyComponent
コンポーネントの初期状態は constructor
メソッド内で直接 0 に設定されています。これにより、以下のメリットがあります。
- テストが容易になる
- 不要な再レンダリングが抑制される
- コンポーネントの責任範囲が明確になる
デフォルトプロパティを使う
class MyComponent extends React.Component {
static defaultProps = {
initialCount: 0,
};
constructor(props) {
super(props);
this.state = {
count: this.props.initialCount,
};
}
render() {
// ...
}
}
このコードでは、MyComponent
コンポーネントのデフォルトプロパティとして initialCount
を 0 に設定しています。これにより、initialCount
props が渡されなかった場合、初期状態は 0 になります。
useContextを使う
ReactJS 16.8 以降では、useContext
フックを使用してコンポーネント間で共有データを共有することができます。
const MyContext = React.createContext({
initialCount: 0,
});
class MyComponent extends React.Component {
render() {
const { initialCount } = useContext(MyContext);
return (
<div>
<h1>Count: {this.state.count}</h1>
<button onClick={() => this.setState({ count: this.state.count + 1 })}>Increment</button>
</div>
);
}
}
const App = () => {
return (
<MyContext.Provider value={{ initialCount: 10 }}>
<div>
<MyComponent />
<MyComponent />
</div>
</MyContext.Provider>
);
};
このコードでは、MyContext
というコンテキストを作成し、initialCount
を 10 に設定しています。そして、MyComponent
コンポーネントは useContext
フックを使用して MyContext
から initialCount
を取得しています。
render propsを使う
ReactJS でコンポーネント間でレンダリングロジックを共有するには、render props パターンを使用することができます。
const MyComponent = ({ initialCount, ...rest }) => {
return (
<div>
<h1>Count: {initialCount}</h1>
<button onClick={() => this.setState({ count: initialCount + 1 })}>Increment</button>
</div>
);
};
const App = () => {
return (
<div>
<MyComponent initialCount={10} />
<MyComponent initialCount={20} />
</div>
);
};
このコードでは、MyComponent
コンポーネントに initialCount
props と rest
props を受け取るようにしています。そして、App
コンポーネントは MyComponent
コンポーネントに initialCount
props を渡しています。
ReactJS でコンポーネントの初期状態を props として渡さない方法はいくつかあります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるので、状況に合わせて適切な方法を選択する必要があります。
- render props: レンダリングロジックを共有するのに適した方法ですが、コードが冗長になりやすいです。
- useContext: コンポーネント間で共有データを共有するのに適した方法ですが、複雑な構造になりやすいです。
- デフォルトプロパティ: シンプルでわかりやすい方法ですが、コンポーネントの再利用性が低くなります。
状況に応じた方法の選択
- レンダリングロジックを共有する必要がある場合は、render propsが適しています。
- コンポーネント間で共有データを共有する必要がある場合は、useContextが適しています。
- コンポーネントを単純に再利用したい場合は、デフォルトプロパティが適しています。
- どの方法を選択する場合も、コードが読みやすく、理解しやすいようにすることが重要です。
- 上記以外にも、
redux
やmobx
などの状態管理ライブラリを使用する方法もあります。
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