ReactのXSS対策について
**XSS(Cross-Site Scripting)**とは、悪意のあるスクリプトをユーザーのブラウザに注入し、攻撃者がユーザーのセッションを乗っ取ったり、機密情報を盗んだりする攻撃手法です。
Reactは、デフォルトでXSS攻撃に対してある程度の保護を提供しています。これは、ReactがJSXという構文を用いて、HTMLをJavaScriptの中に埋め込む方法を採用しているためです。Reactは、JSXをレンダリングする際に、自動的にHTMLエンコードを行い、悪意のあるスクリプトが実行されないようにしています。
しかし、注意すべき点があります
- ユーザー入力の適切なサニタイズ
ユーザーから入力されたデータを直接レンダリングする前に、必ずサニタイズ処理を行い、悪意のあるスクリプトを除去する必要があります。 - dangerouslySetInnerHTML
このプロパティを使用すると、HTMLエンコーディングをバイパスして、直接HTMLをレンダリングすることができます。しかし、このプロパティは慎重に使用すべきです。信頼できないソースからのHTMLをレンダリングする場合は、XSS攻撃のリスクが高まります。
// XSS脆弱性のある例
function renderUnsafeInput(input) {
return <div dangerouslySetInnerHTML={{ __html: input }} />;
}
// 安全な例
function renderSafeInput(input) {
return <div>{input}</div>;
}
解説
-
XSS脆弱性のある例
dangerouslySetInnerHTML
プロパティを使用することで、直接HTMLをレンダリングしています。- ユーザーから直接入力されたデータ(
input
)をそのままレンダリングするため、XSS攻撃に脆弱です。 - 例えば、ユーザーが入力した値が
<script>alert('XSS攻撃!')</script>
の場合、ブラウザはスクリプトを実行してしまいます。
-
安全な例
- ReactはデフォルトでHTMLエンコーディングを行うため、ユーザー入力(
input
)を直接レンダリングしても、XSS攻撃を防ぐことができます。 - Reactは、
<div>
タグ内にテキストノードとしてレンダリングするため、ブラウザはスクリプトとして解釈しません。
- ReactはデフォルトでHTMLエンコーディングを行うため、ユーザー入力(
ReactはデフォルトでXSS攻撃に対してある程度の保護を提供していますが、より厳密なセキュリティ対策が必要な場合、以下の手法を検討することができます。
ライブラリによるサニタイズ
- DOMPurify
- HTMLを安全な形式にクリーンアップするライブラリです。
- ユーザー入力や外部ソースからのHTMLをサニタイズするのに使用できます。
import DOMPurify from 'dompurify';
function renderSanitizedInput(input) {
const sanitizedHtml = DOMPurify.sanitize(input);
return <div dangerouslySetInnerHTML={{ __html: sanitizedHtml }} />;
}
サーバーサイドレンダリング (SSR)
- サーバー側で適切なサニタイズ処理を行うことで、クライアント側でのXSS攻撃のリスクを軽減できます。
- サーバー側でHTMLを生成し、クライアントに配信します。
Content Security Policy (CSP)
script-src 'self'
などを設定することで、信頼できるソースからのスクリプトのみを実行するように制限できます。- ブラウザにセキュリティポリシーを設定し、スクリプトの実行を制限します。
注意
- セキュリティの継続的な監視
新たな脆弱性や攻撃手法が常に登場するため、最新のセキュリティ情報を把握し、定期的なセキュリティ監査を実施することが重要です。 - dangerouslySetInnerHTMLの使用は最小限に抑える
このプロパティは強力ですが、誤用するとXSS攻撃のリスクが高まります。
reactjs security xss