Angular2 @Input ユニットテスト解説
Angular2において、@Input()デコレータは、コンポーネントに外部からデータを受け取るための仕組みです。この入力データを正しく処理し、コンポーネントの挙動が期待通りになることを確認するために、ユニットテストを行います。
テストの目的
- 入力データによるコンポーネントの挙動確認
入力データに応じて、コンポーネントが期待通りの処理や表示を行うか。 - 入力データの受け取り確認
コンポーネントが@Input()で指定されたプロパティに正しい値を受け取っているか。
テスト方法
-
テスト環境のセットアップ
- TestBed.configureTestingModule
テストモジュールを構成し、必要な依存性を注入します。 - TestBed.createComponent
テスト対象のコンポーネントを作成します。 - fixture.componentInstance
コンポーネントインスタンスにアクセスします。
- TestBed.configureTestingModule
-
入力データの設定
- componentInstance.inputProperty = value
テスト対象の@Input()プロパティに値を設定します。 - fixture.detectChanges()
変更を検知し、コンポーネントのレンダリングをトリガーします。
- componentInstance.inputProperty = value
-
期待する挙動の検証
- fixture.debugElement.query
コンポーネントのDOM要素にアクセスします。 - expect
テストフレームワークのassertion機能を使って、期待する状態を確認します。
- fixture.debugElement.query
コード例
// my-component.component.ts
@Component({
selector: 'my-component',
template: `
<p>{{ inputValue }}</p>
`
})
export class MyComponent {
@Input() inputValue: string;
}
// my-component.component.spec.ts
import { ComponentFixture, TestBed } from '@angular/core/testing';
import { MyComponent } from './my-component.component';
describe('MyComponent', () => {
let component: MyComponent;
let fixture: ComponentFixture<MyComponent>;
beforeEach(a sync () => {
await TestBed.configureTestingModule({
declarations: [MyComponent]
})
.compileComponents();
});
beforeEach(() => {
fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
component = fixture.componentInstance ;
fixture.detectChanges();
});
it('shou ld display the input value', () => {
const expectedValue = 'Test Input';
component.inputValue = expectedValue;
fixture.detectChanges();
const pElement = fixture.debugElement.nativeElement.querySelector('p');
expect(pElement.textContent).toBe(expectedValue);
});
});
重要なポイント
- テストカバレッジ
テストケースを設計する際には、さまざまな入力値や条件を考慮して、高いテストカバレッジを目指します。 - 複雑なコンポーネント
複雑なコンポーネントでは、複数の@Input()プロパティやイベントハンドラをテストする必要があります。 - 非同期処理
非同期処理を含むコンポーネントでは、fixture.whenStable()
を使用して、非同期処理が完了するまで待つ必要があります。
Angular2の@Input()ユニットテストのコード例解説
コード例の詳細解説
テストモジュールの構成
TestBed.configureTestingModule({
declarations: [MyComponent]
})
.compileComponents();
- compileComponents
テスト実行前にコンポーネントをコンパイルします。 - declarations
テスト対象のコンポーネント(MyComponent)を宣言します。 - TestBed.configureTestingModule
テスト環境をセットアップします。
コンポーネントの生成とインスタンスへのアクセス
fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
component = fixture.componentInstance;
- fixture.componentInstance
作成されたコンポーネントのインスタンスにアクセスし、component変数に代入します。 - TestBed.createComponent
MyComponentのインスタンスを作成し、fixtureに格納します。
入力データの設定と変更検知
component.inputValue = expectedValue;
fixture.detectChanges();
- fixture.detectChanges
コンポーネントの変更を検知し、DOMを更新します。これにより、設定したinputValueがテンプレートに反映されます。 - component.inputValue
MyComponentの@Input()プロパティであるinputValueに、期待する値(expectedValue)を設定します。
DOM要素の取得と期待値との比較
const pElement = fixture.debugElement.nativeElement.querySelector('p');
expect(pElement.textContent).toBe(expectedValue);
- expect(pElement.textContent).toBe(expectedValue)
取得した<p>要素のテキスト内容が、設定した期待値と一致するかをアサートします。 - querySelector('p')
テンプレート内の<p>要素を取得します。
@Input() ユニットテストのポイント
- イベント
@Input()プロパティの変化によって発生するイベントをテストします。 - 非同期処理
async/awaitやPromiseを使って、非同期処理を含むコンポーネントのテストを行います。 - さまざまな入力値
正常な値だけでなく、不正な値や空の値など、さまざまな入力値に対してテストを行うことで、コンポーネントの堅牢性を確認します。 - 単一責任の原則
各テストケースは、特定の@Input()プロパティに対する動作のみを検証します。
- テスト駆動開発
テストを先に作成し、それに合わせてコードを開発することで、より高品質なコードを作成できます。 - テストカバレッジ
JestやKarmaなどのテストランナーを使って、テストカバレッジを計測し、テストの網羅性を確認します。
より深い理解のために
- Angular公式ドキュメント
Angularのテストに関する詳細な情報が記載されています。
追加で知りたいこと
- テスト駆動開発の実践方法
- テストカバレッジの向上方法
- 非同期処理を含むコンポーネントのテスト方法
- 特定の@Input()プロパティのテスト方法
テストダブル(Test Double)の使用
- Spy Object
テスト対象のコンポーネントが呼び出すメソッドやサービスをスパイオブジェクトで置き換えます。これにより、メソッドの呼び出し回数や引数を検証できます。 - Mock Component
テスト対象のコンポーネントと相互作用するコンポーネントをモック化します。これにより、テスト対象のコンポーネントの挙動を独立して検証できます。
テストフレームワークの機能を活用
- Jest
Jestのmock
やspyOn
機能を使って、モックオブジェクトやスパイオブジェクトを作成できます。 - Jasmine
JasmineのspyOn
やfakeAsync
などの機能を使って、非同期処理やイベントハンドラのテストを効率的に行えます。
テスト環境の最適化
- Parallel Testing
テストを並列実行することで、テスト時間を短縮します。 - Test Environment Configuration
テスト環境を適切に設定することで、テストの実行速度を向上させます。例えば、テスト用のビルド設定やテストデータの事前準備を行います。
具体的なコード例
// Mock Component
@Component({
selector: 'mock-child',
template: ''
})
class MockChildComponent {
@Input() inputValue: string;
}
// テストケース
it('should pass input value to child component', () => {
TestBed.configureTestingModule({
declarations: [MyComponent, MockChildComponent]
})
.compileComponents();
fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
component = fixture.componentInstance;
component.childComponent = new MockChildComponent();
component.inputValue = 'test value';
fixture.detectChanges();
expect(component.childComponent.inputValue).toBe('test value');
});
- テストの実行速度
テストの実行時間を短縮するために、最適化を行います。 - テストのメンテナンス性
テストコードは読みやすく、メンテナンスしやすいように記述します。
Angular2の@Input()ユニットテストには、さまざまな手法が存在します。適切な手法を選択し、テストケースを設計することで、高品質なコンポーネントを開発できます。
追加の考慮事項
- テストの自動化
CI/CDパイプラインにテストを組み込むことで、自動的にテストを実行し、品質を維持します。 - テスト環境の再現性
テスト環境を再現可能にすることで、テストの安定性を確保します。 - テストデータの管理
テストデータの管理には、テストデータジェネレーターやテストデータのモック化が有効です。
angular typescript unit-testing