React/React Native テストにおけるモック関数の使い分け：状況に応じた最適な方法

React、React Native、Jest におけるテストごとのモック関数戻り値の変更方法

Jest でモック関数をテストすることは、コンポーネントの動作を検証する強力な方法です。しかし、各テストでモック関数の戻り値を個別に設定したい場合は、いくつかの方法を理解する必要があります。

mockImplementation を使用する

最も一般的な方法は、mockImplementation を使用して、モック関数の挙動を定義することです。これは、テストごとに異なる値を返すようにモック関数を設定するのに役立ちます。

const mockFunction = jest.fn();

test('テスト 1', () => {
  mockFunction.mockImplementation(() => '値1');
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値1');
});

test('テスト 2', () => {
  mockFunction.mockImplementation(() => '値2');
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値2');
});

mockReturnValueOnce を使用する

各テストで 1 回だけ 異なる値を返したい場合は、mockReturnValueOnce を使用できます。

const mockFunction = jest.fn();

test('テスト 1', () => {
  mockFunction.mockReturnValueOnce('値1');
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値1');
});

test('テスト 2', () => {
  mockFunction.mockReturnValueOnce('値2');
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値2');
});

モックファイルを独立させる

より複雑なモックロジックの場合は、モックファイルを別途作成して、テストごとに読み込む方法もあります。これにより、テストコードをより整理しやすくなります。

React Native では、jest.mock を使用してモジュール全体をモックする必要があります。モック関数はモジュール内で直接定義する必要があります。

例

jest.mock('react-native', () => {
  const actualReactNative = jest.requireActual('react-native');
  return {
    ...actualReactNative,
    View: () => 'モックされた View コンポーネント',
  };
});

test('テスト', () => {
  const { Component } = require('./myComponent');
  // ... テスト内容 ...
  expect(render(<Component />)).toMatchSnapshot();
});

補足

• テスト後に必ずモックをクリアすることを忘れないでください。そうしないと、他のテストに影響を与える可能性があります。
• より複雑なモックロジックの場合は、mockResolvedValue や mockRejectedValue などの他の Jest モッキング機能を使用することもできます。

これらの方法を組み合わせることで、様々なテストシナリオでモック関数の挙動を効果的に制御することができます。

以下のサンプルコードは、Jest でモック関数の戻り値をテストごとに変更する方法を具体的に示しています。

// モジュールファイル (myModule.js)

export function myFunction(param) {
  // 本来の処理
  return param * 2;
}

// テストファイル (myModule.test.js)

const myModule = require('./myModule');
const mockFunction = jest.spyOn(myModule, 'myFunction');

test('テスト 1', () => {
  mockFunction.mockImplementation(() => 10);
  const result = myModule.myFunction(5);
  expect(result).toBe(10);
});

test('テスト 2', () => {
  mockFunction.mockImplementation((param) => param * 3);
  const result = myModule.myFunction(5);
  expect(result).toBe(15);
});

// モジュールファイル (myModule.js)

export function myFunction(param) {
  // 本来の処理
  return param * 2;
}

// テストファイル (myModule.test.js)

const myModule = require('./myModule');
const mockFunction = jest.spyOn(myModule, 'myFunction');

test('テスト 1', () => {
  mockFunction.mockReturnValueOnce(10);
  const result = myModule.myFunction(5);
  expect(result).toBe(10);
});

test('テスト 2', () => {
  mockFunction.mockReturnValueOnce(20);
  const result = myModule.myFunction(5);
  expect(result).toBe(20);
});

// モックファイル (myModuleMock.js)

module.exports = {
  myFunction: jest.fn(() => 10),
};

// テストファイル (myModule.test.js)

const myModule = require('./myModule');
jest.mock('./myModuleMock');

test('テスト', () => {
  const result = myModule.myFunction(5);
  expect(result).toBe(10);
});

React Native での例

// モックファイル (reactNativeMock.js)

module.exports = {
  View: () => 'モックされた View コンポーネント',
};

// テストファイル (myComponent.test.js)

jest.mock('react-native', () => (
  jest.requireActual('react-native')
));
jest.mock('./reactNativeMock');

const { Component } = require('./myComponent');

test('テスト', () => {
  const { render } = require('@testing-library/react-native');
  const result = render(<Component />);
  expect(result).toMatchSnapshot();
});

• テストコードはあくまで一例であり、実際の状況に合わせて調整する必要があります。
• モック関数の詳細な設定方法は、Jest ドキュメントを参照してください。

Jest でモック関数の戻り値を変更するには、これまで紹介した方法以外にも、状況に応じて様々な方法が用意されています。以下では、いくつか追加の方法と、それぞれの利点と欠点について説明します。

mockResolvedValue と mockRejectedValue を使用する

非同期処理をモックする場合、mockResolvedValue と mockRejectedValue を使用して、Promise の解決値または拒否値を個別に設定することができます。

const mockFunction = jest.fn();

test('テスト 1', () => {
  mockFunction.mockResolvedValue('成功値');
  return mockFunction().then((result) => {
    expect(result).toBe('成功値');
  });
});

test('テスト 2', () => {
  mockFunction.mockRejectedValue(new Error('エラーメッセージ'));
  return mockFunction().catch((error) => {
    expect(error.message).toBe('エラーメッセージ');
  });
});

利点:

• 非同期処理のモックをより詳細に制御できます。
• テストコードをより分かりやすく記述できます。

• 同期処理のモックには使用できません。

mockImplementationOnce は mockReturnValueOnce に似ていますが、1 回だけ 任意の処理を実行するようにモック関数を設定できます。

const mockFunction = jest.fn();

test('テスト', () => {
  mockFunction.mockImplementationOnce(() => {
    // 処理内容
  });
  // ... テスト内容 ...
});

• 複雑な処理をモックする場合に便利です。
• テストごとに異なる処理をモックできます。

• 処理内容を直接記述する必要があるため、コードが分かりにくくなる場合があります。

モック関数オブジェクトを作成して、様々なプロパティを設定することで、より柔軟にモック関数を制御することができます。

const mockFunction = jest.fn().mockImplementation(() => {
  // 処理内容
});

mockFunction.mockReturnValueOnce('値1');
mockFunction.mockReturnValueOnce('値2');

test('テスト 1', () => {
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値1');
});

test('テスト 2', () => {
  // ... テスト内容 ...
  expect(mockFunction()).toBe('値2');
});

• 各種プロパティを設定することで、様々なモック動作を定義できます。
• コードをより柔軟に記述できます。

• コードが複雑になりやすいため、理解しにくくなる場合があります。

モックライブラリを使用する

Jest には、mock-implementation-js や ts-mockito などの様々なモックライブラリが存在します。これらのライブラリを使用すると、より高度なモックロジックを記述することができます。

• 複雑なモックロジックを簡単に記述できます。

• ライブラリの使用方法を覚える必要があるため、学習コストがかかります。

Jest でモック関数の戻り値を変更するには、様々な方法があります。それぞれの方法には利点と欠点があるため、状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。