配列クローン方法 解説
JavaScript/TypeScriptで配列をクローンする
JavaScript/TypeScriptでは、配列をクローンして新しい配列を作成することがよくあります。これにより、元の配列をそのまま保持しつつ、新しい配列に対して操作を行うことができます。
クローニングの方法
スプレッド演算子 (
...
)- これは最もシンプルかつ一般的な方法です。
- 配列の前に
...
を付けることで、その配列の要素を新しい配列に展開します。
const originalArray = [1, 2, 3]; const clonedArray = [...originalArray];
slice()
メソッドslice()
メソッドは、配列の特定の範囲を抽出して新しい配列を作成します。- 引数なしで呼び出すと、元の配列のすべての要素をコピーします。
const originalArray = [1, 2, 3]; const clonedArray = originalArray.slice();
concat()
メソッドconcat()
メソッドは、複数の配列を結合して新しい配列を作成します。- 引数として空の配列を渡すことで、元の配列をコピーすることができます。
const originalArray = [1, 2, 3]; const clonedArray = [].concat(originalArray);
注意事項
- Angularにおける配列
Angularでは、配列の変更を検知するために、オブジェクト参照が変更された場合にのみ変更がトリガーされます。そのため、配列をクローンして新しいオブジェクト参照を作成すると、Angularは自動的に変更を検知します。 - 深さのコピー
上記の方法では、配列の要素がオブジェクトやネストされた配列の場合、浅いコピーが行われます。つまり、元の配列と新しい配列は同じオブジェクトを参照します。深いコピーが必要な場合は、専用のライブラリや手動で実装する必要があります。
なぜ配列をクローンするのか?
JavaScript/TypeScript で配列をクローンする主な理由は、元の配列のデータを保持したまま、新しい配列に対して操作を行いたい場合です。
例えば、
- 関数に配列を渡す際、元の配列が意図せず変更されるのを防ぎたい
- Angularなどのフレームワークで、変更検知をトリガーしたい
- 元の配列を変更せずに、新しい配列で実験したい
といったケースが挙げられます。
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = [...originalArray];
- 解説
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = originalArray.slice();
- 解説
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = [].concat(originalArray);
- 解説
深いコピーと浅いコピー
- 深いコピー
配列の要素も含めて、完全に新しいオブジェクトを作成することを深いコピーといいます。深いコピーを行うには、JSON.parse(JSON.stringify())
や、Lodashなどのライブラリを使う方法があります。 - 浅いコピー
上記の方法では、配列の要素がオブジェクトやネストされた配列の場合、浅いコピーが行われます。つまり、新しい配列の要素は、元の配列の要素と同じオブジェクトを参照します。元のオブジェクトを変更すると、新しい配列の要素も変更されます。
Angular での配列の変更検知
JavaScript/TypeScript で配列をクローンする方法はいくつかありますが、スプレッド演算子が最もシンプルで一般的です。しかし、深いコピーが必要な場合や、Angularなどのフレームワークで使用する場合は、より適切な方法を選ぶ必要があります。
- Lodash
Lodash は、JavaScriptのユーティリティライブラリで、深いコピーを行うためのcloneDeep
関数などを提供しています。 - 配列の要素がオブジェクトの場合
深いコピーが必要な場合は、JSON.parse(JSON.stringify())
を使用することができますが、循環参照がある場合や、DateオブジェクトなどJSONでシリアライズできないオブジェクトが含まれている場合は、この方法は使用できません。
より詳細な解説
- Lodashなどのライブラリ
Lodashなどのライブラリを使用することで、より簡単に深いコピーを行うことができます。 - Angularの変更検知
Angularの変更検知の仕組みを理解することで、より効果的に配列を操作することができます。 - 深さのコピー
配列の要素がオブジェクトやネストされた配列の場合、深いコピーを行う必要があります。
Array.from() メソッド
- 例
- 特徴
イテラブルなオブジェクトから新しい配列を作成します。配列だけでなく、文字列や、for...of
ループで反復できるオブジェクトからも配列を作成できます。
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = Array.from(originalArray);
JSON.parse(JSON.stringify())
- 特徴
オブジェクトを JSON 文字列に変換し、再びオブジェクトに戻すことで、深いコピーを作成できます。ただし、循環参照や、Dateオブジェクトなど JSON でシリアライズできないオブジェクトが含まれている場合は、使用できません。
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = JSON.parse(JSON.stringify(originalArray));
for ループによる手動コピー
- 特徴
自分でループを回し、要素を一つずつコピーします。深いコピーも簡単に実装できます。
const originalArray = [1, 2, 3];
const clonedArray = [];
for (let i = 0; i < originalArray.length; i++) {
clonedArray[i] = originalArray[i];
}
- structuredClone()
ブラウザによっては、structuredClone()
を使用して、より複雑なオブジェクトの深いコピーを作成することができます。
どの方法を選ぶべきか?
- カスタムの処理が必要な場合
for
ループによる手動コピーで、任意の処理を追加することができます。 - 深いコピーが必要な場合
JSON.parse(JSON.stringify())
、Lodash のcloneDeep
、structuredClone()
を検討します。ただし、JSON.parse(JSON.stringify())
は、全てのオブジェクトに対応できるわけではありません。 - 浅いコピーで十分な場合
スプレッド演算子、slice()
、concat()
がシンプルで使いやすいです。
配列のクローン方法は、状況に応じて様々な選択肢があります。それぞれの方法の特徴を理解し、適切な方法を選ぶことが重要です。
選ぶ際のポイント
- パフォーマンス
速度が重要な場合は、シンプルな方法を選ぶ。 - オブジェクトの種類
JSON でシリアライズできるオブジェクトか、できないオブジェクトか。 - コピーの深さ
浅いコピーで十分か、深いコピーが必要か。
arrays angular typescript